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キャンペーンROIを改善するための、6つのTIPSとベストプラクティス

6分で読めるシリーズ|2022年8月

メディア環境が細分化し、 新しいプラットフォーム、サービスが急増する中で、マーケターによるROIの測定はますます複雑化しています。ROIを見える化し、それを最適化するテクノロジーは、かつてないほど豊富になってきている一方で、ニールセンの調査では、フルファネルでROIを測定することに対して自信があると回答したマーケターは世界中でわずか54%に過ぎないことがことがわかっています。 

消費者データの情報源が絶えず拡大していることで、膨大なデータセットから、マーケターがインサイトを得ることは困難かもしれません。ニールセンでは、こうしたマーケターの悩みを解決すべく、キャンペーンROIを改善するための「6つのTIPSとベストプラクティス」をまとめました。データの力を最大限に活かし、ROI向上のお役に立てれば幸いです。

TIPS 1: ターゲティングを改善して、ROIを改善

ブランドにとってマーケティング予算は、常に増額していけるわけではありません。そのため、媒体社やプラットフォーム全体で、広告キャンペーンごとのリーチやインプレッションを理解することが重要です。ニールセン デジタル広告視聴率(DAR)によると、デジタル広告予算の40%近くは、間違ったオーディエンスに費やされ、無駄になっていることがわかっています。ROIのパフォーマンスを見る上でターゲティングの有効性には注目する必要があります。  

データドリブンのマーケティングが必須である現代において、ある指標を参考にキャンペーンをほぼリアルタイムで最適化することが、ターゲットオーディエンスへのリーチを増やし、ROIを改善する鍵となります。ニールセンが最近実施した調査では、リーチなどのオーディエンス指標はキャンペーン実績における重要な初期指標であることがわかっています。適切な広告を適切なオーディエンスに配信することで、ROIを改善できることが検証されています。

広告費を適切なオーディエンスに費やし、十分な投資額とすることでROIの向上を見込むことができます。上記の表では、ターゲットオーディエンスに対して広告量が少なかったケース(左下のクラスター)の平均ROIは支出1ドル当たり0.25ドルだった一方で、広告量が多かったケース(右上のクラスター)の平均ROIは1ドル当たり2.60ドルだったことを示しています。  

TIPS 2: ブランド指標を測定し、価値を最大化

ブランド認知の構築は、世界中のマーケターが掲げる目的の一つですが、その理由は明白です。ニールセンの調査では、「認知」と「検討」のブランド指標が1ポイント改善すると、平均して売上の1%増加につながることがわかっています。さらに、認知・検討の指標のポイントが上がることで、コンバージョン重視のマーケティング活動の効率性も向上することができます。 

最近は多くのブランドが「売上に対するメディアの影響」について頻繁に測定を行う一方で、「メディアがブランドに与える影響」はそれほど測定を行っていないのが現状です。一つのメディアが売上増加とブランド構築の両方の目的達成に適していることは稀であることがわかっています。両方に適したメディアは、全体の36%に過ぎません。キャンペーンの潜在能力を完全に発揮するには、アッパーファネルとローワーファネルの両側を促進するメディア構成を考える必要があります。

詳細は、レポートをダウンロードの上ご一読ください。 ニールセン2022年ROIレポート.

不景気やインフレ圧力に直面し、少しでも短期的な売上増加を実現するために、インセンティブの検討することもあるでしょう。しかしながら、ROIは長期的な視点で評価するものであるため、そうした短期的な売上増と継続的なブランド構築のバランスを図るメディアプランが必要であることを忘れてはいけません。  

マーケティング・ミックス・モデル(MMM)は、短期の売上高のためにメディア構成を最適化するのに役立ち、二次分析を使用して認知度やその他のアッパーファネル指標のメディア構成を最適化することができます。このアプローチはブランド構築の活動を通じて、長期的な成長の土台を作りながら、短期的な売上目標を達成することにつながります。

TIPS 3: クリエイティブを使用した、売上の促進

ますます細分化が進むメディア環境では、消費者は広告の氾濫を目にしているため、消費者の注意を引き、維持するためには、優れたクリエイティブが重要になります。  

Metaの依頼により、ニールセン最近実施した調査では、日用消費財カテゴリー、41ブランドについて、3年分のMMMのデータを検証した結果、質の高いクリエイティブを使ったキャンペーンは、成果が35%も高いということが判明しました。

TIPS 4: 新しいメディア = エンゲージする新しい方法

膨大な量のメディアプラットフォームやフォーマットが存在する今、マーケターが潜在的な購入者層と関わる方法も増えています。それぞれの新しいマーケティングチャネルで、どのフォーマットが最もROIを高めるかを見極めるため、アトリビューションと最適化は非常に重要になります。

新しいメディアやフォーマットに投資しているブランドは、高いリターンを上げています。例えば、ニールセンとSnapが行った調査では、AR(拡張現実)広告は、他のメディアよりも持続的に高いROIを生み出 すことがわかりました。また、ニールセンがTikTokと実施した調査においては、TikTokキャンペーンに複数の広告フォーマットを使用している4つのブランドは、広告支出に対するリターンを12%も向上させました。ニールセンの2022年ROIレポートでは、ポッドキャスト広告、インフルエンサーマーケティング、ブランドコンテンツ広告すべてがブランド指標を向上させることに寄与していると示しています。

TIPS 5: 地域全体の支出を最適化し、ROIの改善を図る

キャンペーンのROIが低い際、ブランドは支出を減額すべきだと考えることが多いでしょう。しかしながら、支出額が少なすぎて、十分な効果を発揮できず 、インパクトを与えることができないケースもあります。ニールセンの2022年ROIレポートは、メディアプランの50%は過少投資で、投資が不足していることを示しています 。また、マーケティングチームが理想的な量の広告支出を行った場合には、ROIが50%急増する可能性があるということがわかりました。

また、これらのパフォーマンスを地域別に見た場合に、違いはさらに鮮明になります。ニールセンが調査した全地域の中で、北米は全体の57%が投資不足であるのにもかかわらず、ROI上昇の可能性は最高で、大半のブランドにとって最も機会に恵まれた地域の1つとなっています。中南米にも大きな機会があり、全体の半数以上が投資不足で、このギャップを埋めることでROIが大幅に上昇する余地があります。 

一方で、欧州はメディアへの投資不足のパーセンテージが最も低く、ROI上昇の可能性も全地域中で最低の水準でした。これらのブランドは細かく分析を行い、ROI上昇が見込める機会を特定し、他地域並みの水準になるように工夫を行うことが求められます。

TIPS 6: 複数のデータセットを活用し、深いインサイトとパフォーマンス向上を実現する 

有効なマーケティング手法とは、行動データとコンテクストに基づくデータを組み合わせ、ROIの向上に導くことです。コンテクストデータを高品質な行動データで補完することで、マーケターはキャンペーンをより効果的かつ効率的に行うことができます。実際に、ニールセンのアトリビューション基準によると、行動ターゲティングを使用してオーディエンスに配信されたインプレッションは、コンテクスト・ターゲティングだけを使用して配信されたインプレッションよりも、高いROIを生み出すことがわかっています。

設定を行った後は放置する、といったスタンスのマーケティング・キャンペーンが通用した時代は過ぎ去りました。急速に変化している消費者の多様な嗜好について行くため、ブランドにはオーディエンスの行動のシフトに合わせて、方針を転換し、柔軟に対応できる、「適応戦略」が必要です。そして、各メディアの有効性の測定や、マーケティング・キャンペーンの最適化を行うために、適正なデータから適切なインサイトを得ることのできるツールやノウハウを持つことが成功の鍵となるでしょう。

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